先日は、市主催の創業支援セミナーでした。
最終プレゼンに向けた準備の一環として、昨年度の起業家4名の事例発表を聞く日。
一年前に同じこのセミナーで学んだ、先輩たちの話を聞くという貴重な機会でした。
それはまるで、少し先を歩く道しるべに出会うような時間に思えました。
最初に登壇されたのは、伝統芸能の指導者の方。
「子どもたちに自信を持ってもらえる居場所をつくりたい」と語る姿に、胸が温かくなりました。
ただ芸を教えるのではなく、その体験を通じて自己肯定感を育てていく。
そして将来的には、海外から訪れる人々にも日本の魅力を伝えたい。
そんな構想に、伝統と未来が優しく手を取り合うような希望を感じました。
続いて登壇した元銀行員のコンサルタントの方は、数字と人の間をつなぐプロフェッショナル。
補助金や融資など、資金調達の両面から事業を支える力に、安心感がにじみ出ていました。
特に印象的だったのは、観光地域で「人は来ているのに、消費が伸びていない」という課題に挑み、旅館の客単価を上げることに成功した事例。
「お金の流れを変えることで、地域が元気になる」というリアルな実践に、経営の奥深さを感じました。
三人目は、IT企業に勤めながらアンティークショップを開いた方。
空き家に眠っていた古物をきっかけに、やがてヨーロッパ直接仕入れへとビジネスを広げたという物語は、本当にワクワクしました。
ITスキルを活かした発信やマーケティング、そして変化を恐れず挑戦する柔軟さ。
「働きながらでも、やりたいことを少しずつ形にしていけるんだ」と、心の中で頷きながら聞いていました。
最後に紹介されたのは、老舗飲食店の事業承継の取り組み。
山あいの町でお客さんが半減しても、挑戦をやめずに新しい形を模索する。
誰かの大切な場所を次の時代につなぐ想いに、私自身の仕事にも重なるものを感じました。
このセミナーの終わりに、ふと気づきました。
私たち受講生一人ひとりが、違う方向を向いているようで、根っこでは「誰かの幸せにつながることをしたい」という想いでつながっているのだということ。
起業という道は孤独になりがちだけど、こうしてお互いの物語を聞くことで、心の灯がまたひとつ増える。
そんな温度のある時間でした。
私もこのセミナーで学ぶ事で、自分だからできることを言葉にして、形にしていけるよう大切に歩んでいきたいと思います。
起業を迷っているあなたへ。完璧を待つ必要はありません。
一歩踏み出すことで、見えなかった景色や出会いが必ず広がります。
何事も学びのひとつと受け止めて、自分らしいペースで進んでいきましょう。
あなたの物語は、今この瞬間から始まっています。