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ブログ仲間で「永遠の謎。ぬか床の正しい臭い」という記事を書かれていた方がいらっしゃったので、正しい匂いはどんなだったろうと記憶をたどってみました。
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永遠の謎。ぬか床の正しい臭い | タワマンで自給自足 (freedom-slowlife.com)
ぬか床と共に生きた母
母のエピソードを思い出しました。
生前の母は、ぬか漬けを宝物のようにしていました。どれくらい大事にしていたのかというと、病気で入院時、お願いがあるんだけどと母から言われました。どんなことかと聞いた私は拍子抜けというか、え?そんなこと?と当時思ったものでした。
お願いされた言葉はなんと「ぬか床に、塩をいっぱい満たして密閉して、樽ごと冷蔵庫に入れておいて!!」。
当時高校生だった私は、ぬか漬けの知識は一切なく、只々言われた通り、普段しまっているシンク下の扉を開け、ぬか漬けの木の樽を引っ張り出し、ぬか床の表面に塩を2~3㎝盛ってからラップをして蓋を閉め冷蔵庫に樽ごと入れたのでした。それを母に伝えたところ、とても安心した顔をしてくれました。
入院が急遽だった為、母としては、ぬか床の保存対策ができずに病院のベッドでいてもたってもいられなかったのだと思います。しかし今の私なら母の気持ちがわかります。
半年後、退院した母は家に帰ると、冷蔵庫で休眠していたぬか床の塩を取り去り、もちろんすぐにぬか漬けを復活させたのでした。
それから長い間、母は身体の自由がきかなくなるまでぬか床を手放しませんでした。
正しい匂いはどんな匂い?
毎日欠かさず、木の樽の横にドカッと座り込み、樽の底まで腕を入れ、ぬか床をかき混ぜていた母の二の腕を思い出しました。
毎日台所から匂っていたぬか床は、木の樽の匂いと相まってちょっと優しく酸味があり、何かほっとするような懐かしい美味しい匂いでした。
思い返すと、食卓にいつも出ていたぬか漬け、茄子は紫色に色よく漬け上がり、キュウリの色は、濃い緑を保ったままなのに、パリッと美味しくてお店に出せるほどの最高の味でした。
そつなくこなしていたぬか床の知識、もっと聞いておけばよかったと思っても遅いですね。
しかし記憶をたどると毎日朝晩、樽の底から良くかき混ぜていたこと、たまに唐辛子や釘を入れていたこと、塩で調整したり、水分が多い時は糠を足したりして良好な状態を保っていたことが思い出されます。カビが発生しないように、虫がわかないように気をつけていました。
かき混ぜる時も、こねずに優しく天地を返すように、樽の底まで空気を含ませるようにしていました。
今になって、ぬか漬けを始めようとやってみましたが、私がいくら手をかけても、あの頃のぬか漬けの味にはなりません。何かが足りない。母が何気なく加えていたもの、きっとそれは「愛情」だったのかもしれません。
今でもぬか床をかき混ぜるたび、母のぬか漬けを思い出します。
手のひらから伝わる温かさ、台所に漂う懐かしい香り、そして母の笑顔。そのすべてが、私の心の中で優しく息づいています。
「お母さん、今日もちゃんとかき混ぜたよ。」
心の中でそう呟きながら、私はそっとぬか床に手を入れます。
